PS 1000pieces 601-☆614「神世より ひさしかれとや 動きなき 岩根に松の 種をまきけむ」2013 ☆625 「白雲に 羽うちつけて とぶ鶴の はるかに千代の 思ほゆるかな」2014 ☆628 「千歳ふる 尾上の小松 うつし植ゑて よろづ世までの 友とこそ見め」2012 ☆641 ひとにも ものにも 日々恋して暮らしつ ふたりでいても一人 ひとりでいても二人 日々戯れて暮らしつ ひめかくしてこの生 おわりくるときには 「難波江の 藻にうづもるる 玉かしは あらはれてだに 人を恋ひばや」2011.05.21 ☆642 香ばしき紙に 黒き文字みて こころ躍らせる 古のごとく 明滅の地平に 彩な文字のみにて こころ向けても それ 恋は恋 「まだ知らぬ 人をはじめて 恋ふるかな 思ふ心よ 道しるべせよ」2011.05.24 ☆643 あなたの心がわからないなんて 言ってみるのは虚しいけれど あなたの心を見せようだなんて 聴いているのも空しいけれど すでにないから見えないのだもの 「わりなしや 思ふ心の 色ならば これぞそれとも 見せましものを」2011.05.27 ☆644 なみだなんぞに だまされはせぬと 知っているのに なぜ心うごくのか 微笑みなんぞに 惑わされはせぬと 誓っているのに なぜ面ゆるむのか 「思ふより いつしかぬるる たもとかな 涙ぞ恋の しるべなりける」2011.09.24 ☆645 見えない方が いいのかなあ 君のすがたの 本当のところ しらない方が いいのかなあ 僕のこころの 向かってる先 「藻屑火の 磯間を分くる いさり舟 ほのかなりしに 思ひそめてき」2011.09.26 ☆646 いずれ手放す ものと知りつつ 色に出ぬよう まもるのは何故 まだ幾百万遍も 来ねばならぬ ひとを恋う ちから失うよりは ひとを思う こころ失うよりは 「いかにせむ 思ひをひとに そめながら 色にいでじと しのぶ心を」2011.10.01 ☆647 名はいらぬ そが誰でも めにうつる それが答え 形もいらぬ もはや今は めにのこる それが御身 「ひとめ見し 人はたれとも 白雲の うはの空なる 恋もするかな」2011.10.04 ☆648 いつしかたまる 恋のあかし かぞえて初めて 自らを知る かくすものなど ないけれど きれぎれに纏う 恋のあかし 「包めども 涙に袖の あらはれて 恋すと人に 知られぬるかな」2011.10.14 ☆649 いいなと思ふこころ つつんで掌にのせて あけてみよかよそか みるまにきえるから 「包めども たえぬ思ひに なりぬれば 問はず語りの せまほしきかな」2011.10.23 ☆650 この増殖した私を どうたためというの あちらをぱたりし またぱたりし続けて とっときのものも どうでもいいものも まぎれてうもれて また次がひろがるの 「おほかたの 恋する人に 聞きなれて 世のつねのとや 君思ふらん」2011.10.23 ☆651 言わねば消えてしまう そんな程度の思いなら 言おか言おまいか迷う 余裕ある程の思いなら 「思へども いはでの山に 年をへて 朽ちやはてなむ 谷のむもれ木」2011.10.28 ☆652 耳にするあなたのほうが 私にはかえってリアルで 目にしたあなたのほうが 悲しくも修正しが必要で 「高砂の 尾上の松に ふく風の 音にのみやは 聞きわたるべき」2011.10.31 ☆653 あたりもせずに くだけるものか そのこころ みがきもせずに あらわるものか かのかたち 「荒磯の 岩にくだくる 浪なれや つれなき人に かくる心は」2011.11.05 ☆654 いつのまにか かんがえてる しらぬうちに かきとめてる こころむく道 ながれゆく先 「岩間ゆく 山のした水 堰きわびて もらす心の ほどを知らなむ」2011.11.07 ☆655 みなもにえがく みなわのごとく うかびてはしり きしべをさわり いつか忍ぶ草に 花をさかさんか 「水隠り(みごもり)に いはで古屋の 忍草 しのぶとだにも しらせてし哉」2011.11.13 ☆656 春まつなんていうのは 種まいてからにしてよ 枯れたなんていうのは 根をみてからにしてよ 「思ふ事 岩間にまきし 松の種 千世と契らむ いまは根ざせよ」2011.11.14 ☆657 なれし島まもり あたらしき風音 しろうともせず わかき時わすれ あらたなる胎動 みようともせず 「おぼつかな うるまの島の 人なれや わが言の葉を 知らぬがほなる」2011.11.20 ☆658 とじた袖ぐちに ひめた恋のあと ひえた雨おとに とかす熱のあと 「人知れず もの思ふころの 袖みれば 雨も涙も わかれざりけり」2011.11.22 ☆659 うきなとしても たつうちがはな うきななくとも みればさくはな 「立ちしより 晴れずもものを 思ふ哉 無き名や野辺の 霞なるらん」2011.11.25 ☆660 言わぬままで 大事にしていたいのに 思わぬすきに 伝わってしまったから もう遊べなくなった すきに遊んでいられなくなった 「歎きあまり しらせそめつる 事の葉も 思ふばかりは いはれざれけり」2011.11.29 ☆661 ずっとかくしておいたなら いつか忘れてしまうでしょ しられぬことがだいじなら いつか消えてしまうでしょ そっとめくった昔の日々に かすかな香り覚えるのみの 「人知れぬ 木の葉の下の むもれ水 思ふ心を かき流さばや」2011.12.03 ☆662 わけもなく そのすがた さがしてしまっていたなら しらぬまに そのかたち ふれたくなってしまったら 「恋しとも いはぬに濡るる 袂かな 心を知るは 涙なりけり」2011.12.07 ☆663 凪いだみずに 紅とかすごと 白きころもに 色うつすごと 一たびあえば 一あやそえて 「思へども いはで忍ぶの すり衣 心の中に みだれぬるかな」2011.12.09 ☆664 それがほんとのものならば ちかづこうともするけれど それがうそだとしらぬなら てをだそうともするけれど このないだこころのおもて なみだたせるほどのものは 「みちのくの 信夫もぢずり 忍びつつ 色には出でじ 乱れもぞする」2011.12.13 ☆665 ちろろにともる火 おさえしわが身の ぽたたとくべる木 とまらぬわが意の 「難波女の すくもたく火の 下焦がれ 上はつれなき 我身なりけり」2011.12.17 ☆666 一瞬の間におとずれる 激情に身をおとすより 一生の秘をむねにだき 知らぬ間にきえたきよ 「恋ひ死なば 世のはかなきに いひをきて なき跡までも 人に知らせじ」2012.02.07 ☆667 なにもせぬなら なにものこさぬ きづつけぬなら きづつけられぬ いわでこのまま されるものなら 「人知れぬ 涙の川の みなかみや いはでの山の 谷のした水」2012.02.10 ☆668 つたえなくては いけないなんて もう はるかむかしのはなしなの つたえられぬのを なげくなんて もう なくからこそうたになるの 「いかにせむ 御垣が原に 摘む芹の ねにのみ泣けど 知る人もなき」2012.02.18 ☆669 いつも一人で 歩いていると? いつも一緒に 歩いているの 「つれもなき 人の心や 逢坂の 関路隔つる 霞なるらん」2012.02.26 ☆670 幾度なみだを流しても 馴得ぬままに時はすぎ ふくらみにふくらんだ むねのうちおりをもち 何時なんどき爆ぜても 平穏なままの生をいき 「涙川 うき寝のとりと なりぬれど 人にはえこそ 身馴れざりれ」2012.02.28 ☆671 「我恋は 尾花ふきこす 秋風の 音にはたてじ 身にはしむとも」 ☆672 逃げても逃げても 振り落とせぬ我心 この橋をわたれば もう苦しまぬなど 行けども行けども 必ず出あうは我心 「世をいとふ はしと思ひし 通ひ道に あやなく人を 恋わたるかな」2012.03.03 ☆673 埋もれさせた方が良かったのか こと伝えるさまは数々あれども 言わぬままの方が先あったのか はな咲かぬままに日々こせども 「便あらば 海人の釣舟 こと伝てん 人を見るめに 求めわびぬる」2012.03.13 ☆674 君おもえるからこそ 我ありかさだまりぬ ふた心なくみてこそ わが灯かりともりぬ 「またもなく ただひと筋に 君を思ふ 恋道にまどふ 我やなになる」2012.03.23 ☆675 月を待つ 日のひかり 君を恋う 僕のすまい 空に花を 風はみちて 「君恋ふる 身はおほぞらに あらねども 月日をおほく 過しつるかな」2012.03.31 ☆676 きみのこのひと文字にて ぼくは此処にかよい初め あやなることの葉にまた たえなる音のせるごとく 「琴の音に 通ひそめぬる 心かな 松ふく風の をとならねども」2012.04.06 ☆677 頬辺に冷たさ さがす夜 君への辿り路 えがく夜 「はかなしや 枕さだめぬ うたた寝に ほのかにまよふ 夢の通い道」2012.05.11 ☆678 想うよりさきに 流れるのなみだ 恋すよりさきに 惑わすのあなた 「先に立つ 涙とならば 人しれず 恋路にまどふ 道しるべせよ」2012.05.17 ☆679 時をたのんで 何をえたいの 君をたのんで 僕になれるの 「ながらへば つらき心も 変るやと 定めなき世を 頼むばかりぞ」2012.05.23 ☆680 いまのなみだに いみなんてない 袖こえるほどに 震えてみえても 「洩らさばや 忍びはつべき 涙かは 袖のしがらみ かくとばかりは」2012.05.28 ☆681 そのときまでは たしかにあった いいえぬときは たしかにあった はれておんみの かたわらにいて 「恋しさを 憂き身なりとて 包みしは いつまでありし 心なるらむ」2012.06.06 ☆682 ああ僕は 待っていたんです そう君が こう言うのだから ああ僕は 分かってたんです そう君が もう舟にいるのを 「頼めとや いなとやいかに 稲舟の しばしと待ちし ほどもへにけり」2012.06.16 ☆683 すきかきらいかなんて もはやどうでもよくて われかなんじかなんて もはやさかいもなくて 「かくばかり 色に出でじと 忍べども 見ゆらんものを 堪えぬけしきは」2012.06.21 ☆684 ああ もう咲いてしまったことよ この いだいて愉しきときは過ぎ ああ もう知れてしまったことよ この ながめて愉しきときは過ぎ 「人知れず 思ふ心は ふかみ草 花咲きてこそ 色にいでけれ」2012.06.30 ☆685 継ぐべきものさえないのなら 勇んでとだえられるのに 逢うなんて言葉もないのなら 思うことさえしないのに 「日をへつつ しげさはまさる 思ひ草 逢う言の葉の などかなからむ」2012.07.02 ☆686 あなたは決してしらないの あゆむたび花 傷つけるのを あなたには決してわからないの あめむすぶたび恋 流れゆくのを 「落つれども 軒に知られぬ 玉水は 恋のながめの しづくなりけり」2012.07.13 ☆686 わたしにはもう 涙さえないのに わたしにはいま 恋さえないのに 「落つれども 軒に知られぬ 玉水は 恋のながめの しづくなりけり」2013.08.02 ☆687 あのひとだけは 知られたくない このいろだけは 見せたくはない 「人知れず 思ひそめてし 心こそ いまは涙の 色となりけれ」2013.08.02 ☆688 だれにも話さず 愉しむのこの恋 だれにも知れず 葬れるのこの恋 「色見えぬ 心のほどを 知らするは 袂を染むる 涙なりけり」2013.08.02 ☆689 「我とこは 信夫(しのぶ)の奥の ますげ原 露かかるとも 知る人のなき」 ☆690 「君恋ふる 涙しぐれと 降りぬれば 信夫(しのぶ)の山も 色づきにけり」 ☆691 「いかにせむ 信夫(しのぶ)の山の 下紅葉 しぐるるままに 色のまさるは」 ☆692 「いつしかと 袖にしぐれの そそくかな 思ひは冬の はじめならねど」 ☆693 おおいかくして わたしのなみだを ゆくえかくして ながれるこころを 「あさましや 抑ふる袖の 下潜る 涙の末を 人やみつらん」2013.08.09 ☆694 あらわれるのが こわいのはなぜ こころみるのが こわいのはなぜ 「忍び音の 袂は色に 出でにけり 心にも似ぬ 我涙かな」2013.08.09 ☆695 かんがえてるから ふみだせないなら こころをみるから みうしなうのなら 「同じくは 重ねてしぼれ 濡れ衣 さても乾すべき 無き名ならじを」2013.08.09 ☆696 いついつのまにか ひとの想いをきて ひついつのひにか ひとの重りになれ 「流れても 濯ぎやすると 濡れごろも 人は着すとも 身には馴らさじ」2013.08.20 ☆697 つつむほどに 現るのなみだ ぬぐうほどに 顕るのこころ 「人目をば 包むと思ふに せきかねて 袖にあまるは 涙なりけり」2013.08.20 ☆698 告げるまえに 体よくわかれ 君はみぬめを 氷室にかこう 「つれなさに いはで絶えなんと 思ふこそ 逢ひ見ぬ先の 別れなりけれ」2013.08.20 ☆699 なみだはひとに みせるものとか なみだはきみに みせるためとか 「よそ人に 問はれぬるかな 君にこそ 見せばやと思ふ 袖の雫を」2013.08.20 ☆700 夢にもあえないのは 想いたりないのまだ 夢でもつれないのは 心うつるからあなた 「つれなくぞ 夢にも見ゆる さ夜衣 うらみむとては 返しやはせし」2013.09.03 花まちて 春すぎて このここちよきばしょから うごくほどのものはたして みしらぬ風に みえうる処において 何としても必要で |